抗ヒスタミン薬
アレルギー反応については、多くの医師や研究者によって研究されてきました。そして開発されたのが抗ヒスタミン薬です。ヒスタミン拮抗薬とも呼ばれます。
ヒスタミンの働きを抑えることで、アレルギー反応を抑えるという考えですね。
ヒスタミンは体内に放出されただけでは炎症などの症状を起こすことはありません。ある種の細胞表面にあるヒスタミン受容体という場所に結合することで活性化されるんです。
この薬はヒスタミンと受容体を結合させないようにすることでアレルギーの反応を起こりにくくするというものです。
分かりやすくいうと、ヒスタミン受容体に栓をしてヒスタミンと結合できなくするのですね。
この薬のおかげで快適な生活を取り戻している方も多いと思います。
しかし、ここには問題もありました。アレルギー対策にはとても良い方法なのですが、ヒスタミン受容体は脳の神経細胞にもたくさんあるのです。
脳内のヒスタミンは、覚醒・催眠の概日リズムの調整にも関与しています。ヒスタミンが活性化することで、脳は「よーし、頑張るぞー!」という覚醒状態になるのですね。
抗ヒスタミン薬が脳内に達すると、脳の神経細胞にあるヒスタミン受容体にも栓をしてしまいます。その結果、覚醒状態を保つことができなくなり、眠くなったりフラフラしたりすることがあるのです。
「服薬後は車の運転や危険を伴う作業はしないでください。」などの注意書きを見たことがあると思います。総合感冒薬なども同じメカニズムなので、そちらで経験した方も多いでしょう。
更に、アレルギーに関与する受容体だけでなく、ほかの作用の受容体にも栓をしてしまうことがあり、口が渇いたり、頻脈になったりと副作用が現れる頻度も高かったのです。
*ヒスタミン受容体は現在4種類発見されており、それぞれ違う作用を示します。
ちなみに、この副作用を逆手にとって開発されたのが、睡眠薬や乗り物酔いの薬です。
睡眠薬は「眠くなっちゃう…」という作用を利用したものです。
乗り物酔いの薬は「フラフラしちゃう…」という作用を利用したものです。フラフラは、ヒスタミンが平衡感覚調整にも関与しているからですね。
さて…どうしたものか…?と研究は続けられ、現在では末梢では働くけれど、脳に行くのを制御した薬が開発されています。同時に抗ヒスタミン作用だけではなく、他の抗アレルギー作用も加えたりと、どんどん良い薬が開発されています。
以前の脳にも影響が出る薬のグループを第1世代、脳に移行しにくくした薬のグループを第2世代と呼び、区別しています。
私の薬はどんな薬なんだろう?と調べてみるのもいいですね。
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