日焼けのケアに向く精油成分
それでは、日焼けしたお肌に良さそうな成分を書きだしていきますよ。成分の作用で関係なさそうなものは省きます。
鎮静作用はお肌への効果ではありませんが、イライラしたり眠れないとストレスで代謝が滞るので、プラスして書いてあります。
モノテルペン炭化水素類 | 抗菌、抗炎症 | αピネン→強壮、抗菌、消毒 リモネン→新陳代謝促進、体内時計リセット、血流増加 ミルセン→抗がん、鎮静 |
---|---|---|
セスキテルペン炭化水素類 | 抗炎症、鎮痒、鎮静 | カマズレン→強い抗炎症、鎮痒、皮膚組織再生 サンタレン→抗菌 βファネッセン→抗炎症 |
モノテルペンアルコール類 | 抗菌、鎮静 | ゲラニオール→抗菌、鎮痛、皮膚弾力回復、収れん、抗がん テルピネン-4-オール→抗菌、鎮痛、抗炎症、鎮痒、副交感神経強壮 ネロール→皮膚弾力回復 l-メントール→抗菌、鎮痛、冷感、鎮静 リナロール→鎮痛、抗炎症、鎮静 αテルピネオール→抗菌、抗炎症、収れん |
ジテルペンアルコール類 | エストロゲン様、強壮刺激 | スクラレオール→エストロゲン様 |
セスキテルペンアルコール類 | 抗菌、抗炎症、エストロゲン様 | ネロリドール→抗菌、エストロゲン様 αビザボロール→鎮痛、抗菌、抗炎症、保湿、美白、抗潰瘍、抗酸化 パチュリアルコール→抗炎症、組織再生 ビリディフロロール→抗炎症、エストロゲン様 |
ケトン類 | 抗菌、瘢痕形成 | メントン→瘢痕形成 |
エステル類 | 鎮痛、抗炎症、鎮静 | 酢酸リナリル→鎮痛、抗炎症、鎮静 酢酸ゲラニル→鎮痛、抗炎症、鎮静 |
オキサイド類 | 抗菌 | ビザボロールオキサイド→抗炎症、創傷治癒 オイゲノール→抗菌、鎮痛 1.8シネオール→抗菌、抗炎症 |
芳香族カルボン酸類 | 抗炎症 | 安息香酸→抗菌、日焼け防止 |
フェノール類 | 抗菌、加湿 | アネトール→抗炎症、エストロゲン様、遺伝子損傷修復 オイゲノール→抗菌、鎮痛、瘢痕形成 |
こんな感じでしょうか…
抗菌作用、鎮痛作用、抗炎症作用のある成分は、他にもたくさんありますが、まずは日焼けしたときの状態に対応できそうな成分を優先的に書きだしました。
この辺りの成分を頭に置いて精油を選んでいくことになるのですが、フェノール類は肌刺激が強い成分です。今回は傷んだお肌に使うので対象外にしましょう!
日焼けのケアに向く成分を含んだ精油
それでは、前項の成分を含有する精油を書きだしてみましょう。その精油の有効成分を書いていきますので、前項にない成分も出てきます
今回も肌ケアに関係なさそうな内容は省略します。
αピネン、リモネンなどのように多くの精油に含まれている成分は後回しにして、独特の成分を含んでいる精油から優先的に選びますよ。
*私の手元にある精油の成分です。産地や採取時期によって含有成分や数値が違うので参考までにご覧ください。
[↓左列の精油名をクリックすると、その精油の詳細プロフィールをご覧いただけます↓]
ペパーミント | l-メントール(52%)→抗菌作用、鎮痛作用、冷感作用 メントン(12.5%)→瘢痕形成作用 1.8シネオール(7%)→抗菌作用、抗炎症作用 |
ペパーミントは、食料品やコスメなど様々な品に入っていて、清涼感をもたらす成分ですよね。 日焼け直後の熱を持ってヒリヒリしているお肌を、ひんやり感で痛みやかゆみを和らげるのに向いています。また、細菌の繁殖を抑える効果、傷口を修復する効果もあるため、水ぶくれやひっかき傷があるときにも効果があります。 メントールの冷感作用についてですが、正しくは温度を下げる訳ではなく、冷たく感じる作用です。 メントールは少量利用で鎮静作用、多量利用で覚醒作用が発現します。1.8シネオールは肌刺激があります。低濃度使用を守りましょう! 乳幼児には刺激が強いので使用しないでくださいね。 |
---|---|---|
ティートゥリー | テルピネン-4-オール(40%)→抗菌、鎮痛、抗炎症、鎮痒、副交感神経強壮 ɤテルピネン(18%)→抗菌、抗炎症 αテルピネン(9.5%)→抗菌、抗炎症 αテルピネオール(3.7%)→抗菌、抗炎症、収れん |
ティートゥリーは抗菌の精油と覚えている方が多いでしょう。感染症予防にも使われています。 そして、アトピー性皮膚炎などのかゆみや乾燥、ジクジクした傷など、皮膚のケアにも力を発揮します。 日焼けの急性期に起こる、痛み、炎症、かゆみなどを緩和する効果や、傷が化膿しないようにする効果があります。 |
カモミール・ジャーマン | αビザボロール(35.5%)→鎮痛、抗菌、抗炎症、保湿、美白、抗潰瘍、抗酸化 βファネッセン(22%)→抗炎症 ビザボロールオキサイドA(17%)→抗炎症、創傷治癒 カマズレン(1.2%)→強い抗炎症、鎮痒、抗アレルギー、皮膚組織再生、鎮静 |
カモミールジャーマンは肌トラブルに最も使われる精油のひとつです。 日焼け直後の痛みや炎症の緩和、水ぶくれなど傷があるときの細菌感染の阻止や傷修復、数日経過したお肌の乾燥防止、その後の肌の硬化、色素沈着、シワ、たるみの予防と、日焼け肌のケア全般に使えます。 αビザボロールは、シミ・くすみを改善するという研究結果から、美白化粧品に入れられている成分です。 日焼けすると皮脂が過酸化脂質に変化して、これがシワやたるみの原因物質になります。αビザボロールは脂質の酸化を防ぎます。 またカマズレンにはかゆみやアレルギーを抑える作用があり、紫外線のアレルギーで起こる日光疹にも使われます。優れた鎮静効果もあるので、イライラなどで眠れないときにも良いでしょう。 |
真正ラベンダー | 酢酸リナリル(37.5%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 リナロール(25.5%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 cisオシメン(6%)→抗菌、抗炎症 transオシメン(4%)→抗菌、抗炎症 テルピネン-4-オール(3.5%)→抗菌、抗炎症、収れん |
真正ラベンダーの作用で一番知られているのは鎮静作用でしょう。リラックスや安眠の精油として多くの方が利用しています。 そしてもうひとつは、やけどへの効果です。天ぷら油が跳ねた!とか、お線香に触った!など小さなやけどのとき、原液を塗布することで炎症が治まり、長引かずに回復することが知られています。 日焼けも一種のやけどです。日焼け直後に使うことで、痛みや炎症を緩和するのを手伝ってくれます。小さな傷や水ぶくれがあるときにも、化膿するのを防いで傷の回復を早めます。 また、紫外線による皮脂の酸化を抑える働きがあることも知られています。 日焼けに関する主な作用は表皮に対するものなので、急性期に向いています。 |
パルマローザ | ゲラニオール(83.5%)→抗菌、鎮痛、皮膚弾力回復、収れん、抗がん 酢酸ゲラニル(95%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 リナロール(1.7%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 |
パルマローザは急性期の炎症緩和よりも、慢性期のスキンケアで注目される精油です。 抗菌、抗炎症作用もあるので、じくじくとリンパ液が浸出するような表皮の傷などにも効果がありますが、真皮の組織や細胞の傷や、再生能力が低下した老化肌などに力を発揮します。これは主にゲラニオールの作用です。 紫外線A波によって傷ついた真皮の修復をして、シワやたるみの予防をするのに向いています。 紫外線はDNAを破壊することもあり、これは長い年月の間に悪性の細胞を生み出す原因となります。ゲラニオールの抗がん作用はさまざまな機関で研究されており、がん細胞の増殖抑制力が強いことが確かめられています。日焼けを繰り返してきたお肌の、日常的なケアに取り入れるといいでしょう。 |
ミルラ | フラノオーデスマ1.3ディエン(42%)→鎮痛 リンデストレン(10%)→鎮痛、抗炎症 |
ミルラは抗菌の精油として知られています。これは古代エジプトでのミイラ作りにたくさん使われていた結果この名前になったという歴史があるからですね。 そして角質のケアにはベンゾインと共に外せない精油です。分厚い足裏の角質も徐々に柔らかくしてくれます。 ミルラも皮脂の酸化を抑える作用があります。シワやたるみの原因になる過酸化脂質の生成を抑制するのに効果があります。 日焼けした肌の痛みや炎症を抑える効果もありますが、傷ついた皮膚組織の修復をする力や肌を柔らかくする力が優れているので、肌のガサつきやこわばりのケア、シワ・たるみの予防に使うのがいいでしょう。 |
ベンゾイン | 安息香酸コンフィニル(74.5%)→抗炎症 安息香酸(15%)→抗菌、日焼け防止 |
ベンゾインはお菓子のような甘い香りで、ゆったりと幸せな気分にさせてくれる精油です。 ミルラでも書きましたが、代謝が滞って硬くなった表皮を柔らかくするのに力を発揮します。 炎症やかゆみを抑えたり、傷口を修復する効果があるため、水ぶくれを破いてしまったり、かゆみで掻きむしってしまった傷を修復するのにも使えます。また傷跡が残らないようにケアするときにも力を発揮します。 そして何といっても特徴的な効果は日焼け防止です。ということで、この精油も急性の炎症が治まった後のケアに向いていますね。 |
フランキンセンス | αピネン+αツヨネン(45%)→強壮、抗菌、抗炎症 リモネン(12.5%)→新陳代謝促進、体内時計リセット、血流増加 サビネン(5%)→抗炎症 ミルセン(4%)→抗がん、鎮静 |
フランキンセンスは癒しの精油です。自律神経のバランスを取るのに優れた効果を発揮します。 抗菌、抗炎症作用もあるので日焼け直後にも使えそうですが、リモネンの含有量が多いため、血行が促進されます。 血行が良くなって体が温まると、ヒリヒリやかゆみが増すのでやめた方がいいでしょうね。 傷口を修復する作用、肌を柔らかくする作用、肌を引き締める作用、細胞を再生する作用、などがあり、普段のスキンケアにも特に良い精油です。 シワやたるみ、皮膚がんの予防に向いています。 |
ネロリ | リナロール(36%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 βピネン(14%)→抗菌、抗炎症 リモネン(12.5%)→新陳代謝促進、体内時計リセット、血流増加 transオシメン(7.3%)→抗菌、抗炎症 ネロリドール(3.8%)→抗菌、エストロゲン様 酢酸リナリル(2.7%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 ゲラニオール(2.4%)→抗菌、鎮痛、皮膚弾力回復、収れん、抗がん αテルピネオール(2.4%)→抗菌、抗炎症、収れん ネロール(1.1%)→皮膚弾力回復 |
ネロリは幸福感と美肌の精油です。 微少成分にも大切なものがたくさんあって、ここには書き切れていません。 痛みや炎症を抑える成分もありますが、この精油の特徴成分であるネロリドールとネロールに注目した使い方がおすすめです。 なぜか?というと、抗菌作用や抗炎症作用のある精油はいっぱいあります。美肌効果のある成分が入った精油は比較的少ないです!そしてネロリはとっても高価です💦ちなみに同じような目的で使いたいローズ精油も高価です💦 これらは是非プルプルお肌を目指す時に使いましょう(^^)v 日焼け肌のケア段階でいうと、表皮の急性症状の手当てがひと段落して、真皮のダメージケアをしたいときですね。 ネロリドールにはエストロゲン様作用があります。これは女性ホルモンのエストロゲンと同じような働きをするという意味です。 エストロゲンは、傷ついた皮膚に対して治癒促進効果があると知られています。紫外線を浴びると真皮の組織や細胞が破壊されて、それが原因でシワやたるみが発生します。真皮繊維芽細胞のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の産生を促進してくれるのがエストロゲンなんです。 その他にもお肌を引き締める作用や細胞の再生を促進する作用など、日焼け肌だけでなく年齢と共に再生の力が低下してきたお肌のケアにも本領発揮してくれるでしょう。 フローラルウォーターにも十分効果がありますので、日ごろのお手入れにも取り入れやすいと思いますよ。 |
サンダルウッド | cic-a-サンタロール+trans-a-ベルガモトール(51.5%)→抗菌、抗炎症、抗酸化 sis-β-サンタロール(17.5%)→抗菌、抗炎症、抗酸化 |
サンダルウッドの和名は白檀(ビャクダン)です。お香などに使われているので、私たちにはとてもなじみのある香りですよね。 血行をよくしたり、心臓機能回復に大きな力を発揮します。 抗菌作用、抗菌作用もありますが、体を温める作用もあるので、急性期よりは慢性期に向いています。 皮脂の酸化を防ぐ作用、皮脂量をコントロールする作用、皮膚を柔らかくする作用、メラニン色素生成を抑制する作用などがあるので、表皮のケアにはとてもいいですね。 α-サンタロールは皮膚がんの予防に効果があるとの研究発表がされています。 また、サンタロールが角質層の細胞増殖や再生を促して、傷の治癒に有効に働くとの研究発表もあります。 このようなことからも分かる通り、日焼けから回復しようとしているお肌にはとてもよい精油です。 サンダルウッドの香りは、塗布した後、数日残ることがあります。これも頭に置いておきましょう! |
クラリセージ | 酢酸リナリル(52%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 リナロール(23%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 テルピネン-4-オール(4.5%)→抗菌、抗炎症、収れん ゲルマクレンD(2.6%)→抗炎症、鎮静 酢酸ゲラニル(2.5%)→鎮痛、抗炎症、鎮静 ゲラニオール(2.5%)→抗菌、鎮痛、皮膚弾力回復、収れん、抗がん スクラレオール(0.5%)→エストロゲン様 |
クラリセージはリラックスとホルモンバランスの精油です。 鎮静作用に優れる精油に多く含まれている酢酸リナリルとリナロールが大半を占めています。 抗菌、鎮痛、抗炎症、収れん、皮膚弾力回復、エストロゲン様、抗がんと、日焼けの直後からシワ・たるみ予防まで、全て対応しそうです。 この精油の鎮静効果は非常に強いため、車の運転前など危険を伴う作業や集中が必要な時には使用をしない方がいいです。 それから、エストロゲン作用による子宮収縮や月経の出血過多のおそれがあるため、妊婦や月経中は使用しない方がいいです。また、乳腺炎、乳がんの場合は使用しないようにしましょう。 もうひとつ、この精油を使用してお酒を飲むと悪酔いする可能性があります。 …と、効果抜群の代わり、注意や禁忌がやたらと多いです💦使用の際は十分注意しましょうね。 |
パチュリ ・・・・・・・ |
パチュリ―アルコール(40%)→抗炎症、組織再生 1111111111111111111111 |
パチュリは墨汁のような香りがするインパクトの強い精油です。昔から衣類の防虫剤として利用されてきました。 抗菌作用、抗炎症作用があり、傷んだ皮膚を修復して新陳代謝を促進する効果、皮膚の引き締め効果、硬くなった皮膚を柔らかくする効果、傷跡を修復する効果、シミ・くすみを予防する効果など、とても期待できる効果が目白押しです。 …が💦ちょっと特徴的な香りで、肌に使うと長時間香ることから、外出前に使うのは注意が必要ですね。 |
この他にもまだまだありますが、今回は上記の12種類を選びました。
次のページは[どの精油を選ぶ?]です